サラリーマンの公務員試験合格ブログ

公務員試験の勉強内容をまとめていきます。公務員を目指している方は是非見ていってください!

民法(意思表示)

こんばんは!独学で公務員試験突破を目指しているサラリーマンのウエマルです。

 今回は「意思表示」というテーマで学習したいと思います。
5段階中の5となります。

この問題ができればOK
問題①

心裡留保による意思表示はその意思表示の効果に影響を及ぼすので(ア)となるが、相手方が表意者の表示と内心の意思の不一致を過失により知らない場合はその意思表示は(イ)となる。

(ア)(イ)はそれぞれ無効、有効どちらの言葉が入るか?

 

問題②

建物を新築したAがその建物の所有権を移転する意思がないのに、Bの承諾を得た上、その建物をB名義で保存登記していたところBはその建物をCに譲渡した。Bが無権利者であることにつきCが善意である時でもCはその建物の所有権取得が認められない。(国家2種 H22)

〇か×か? 

 

問題③

意思表示は法律行為の要素に錯誤があたったときは取消すことができる。表意者に重大な過失があるときには、そのような表意者を相手方を犠牲にして保護する必要はないから、表意者は自ら錯誤取消を主張することができないが、相手方は表意者に重大な過失があるときであっても、錯誤取り消しを主張することはできる。

〇か×か?

 

問題④

詐欺によって取り消すことができる法律行為を取り消した場合、その法律行為は遡及的に無効となり、取消前の善意・無過失の第三者にも対抗することができる。

〇か×か?

 

◆意思表示基礎
1.意思表示とは?
 法律効果の発生の意思を表示することです。
意思表示には3つの要素、過程があります。
①内心的効果意思・・・法律効果を欲する意思(例)パンが欲しい。買おう。
②表示意思・・・内心的効果意思を外部、相手方に表示する意思(例)パンを下さいと言おう。
③表示行為・・・外部への内心的効果意思の表示(例)「パンを下さい。」

2.言い間違えた場合
 パン屋にAがアンパンを買いに行きました。しかし、Aは「メロンパンを下さい」と誤って伝えた場合、アンパンを買えるのかそれともメロンパンを買うことになってしまうのか2つの考えがあります。

①意志主義
 意思表示⇒内心的効果意思を重視する考え方です。表意者の利益を優先し「メロンパンを買う」という表示は無効になります。

②表示主義
 表示を受ける相手方が保護される考え方です。意思と表示が異なっていても表示したことが有効となりメロンパンを買うことになります。

 

◆意思の不存在と瑕疵のある意思表示

ここから問題に出やすいところになります。

心裡留保

表意者が表示が真意と違っていることを分かっていながらする表示のことをいいます。つまり、嘘や冗談です。

 

【例題】BはAに家を売ってもらうようにお願いしに行きました。Aは売る気がないのに「売りましょう」と答えました。売買契約書は交わしていません。

  

この場合、契約書は交わしていませんが有効となりAは家を売らなければなりません。

Bは家を買うために今住んでいる住居を引き払う手続きをしているかもしれません。そんな意思表示者の相手方を保護するために有効となります。

心裡留保の意思表示は原則有効となります。

〈悪意の場合〉 ※民法の悪意とは事柄を知っていたこと、善意は知らなかったこと

相手方が心裡留保を知っている若しくは知ることができた(悪意又は有過失)場合、保護する必要がないので契約は無効となります。

 

・第三者との関係

 AはBに真意では売る意思がないのにBに甲土地を売却しました。その後BからCへ転売された場合どうなるのか?相手方Bの状態が問題となります。

〈Bが善意・無過失〉

Bが善意・無過失であれば相手方のBが保護されるのでCへの転売も有効になります。

〈Bが悪意・有過失〉

Bが悪意・有過失であればA-B間の販売は無効になります。

しかし、第三者Cが善意であれば第三者の保護のためA-B-C間の取引は有効となります。

一方、第三者Cが悪意であれば A-B-C間の取引はとなります。

 

〇通謀虚偽表示

 意思表示の相手方と通じてした虚偽の意思表示のことです。

【例題】

①Aは債権者Xから2000万円借りていたが払えない場合、A所有の甲建物をXに渡さなければいけない。甲建物を渡すことを嫌ったAは親友Bと結託して甲建物をB名義に移転した。

⇒この場合無効となりB名義にならず、Xへ渡さなければならない。(原則、無効)

②①の後、Bは甲建物を第三者Cに売却した。AB間の無効を理由にXはBC間の取引の無効を求められるか?

〈Cが善意〉債権者XやAはCに返還を請求できない。

〈Cが悪意〉BC間の取引は無効となり、甲所有権はAに返還される。

・注意点

 Cが善意の場合、CはBから甲建物を購入した時に善意であれば足り、その後事実を知った場合でも取引は有効となる。

  裁判で善意を立証しなければならないのは第三者となる。

 第三者が保護されるには不動産の登記

 

・転得者

 上記の【例題②】で第三者Cからさらに転得者Dに売却した場合

①〈Cが悪意、Dが善意〉Dが善意であればAやXはCD間の取引の無効を主張できない。

②〈Cが善意、Dが悪意〉Cが善意であればBC間は有効となり、第三者Cを保護する」観点からCD間の取引の無効を主張できない。

 

・権利外観法理

 通謀していなくても何らかの外形的に信頼できる事象があれば通謀虚偽表示の類推適用がされる。つまり、端から見れば悪だくみをしていると思える根拠があれば通謀虚偽表示になるということです。

【例題】Aは自身の所有している甲不動産の登記を勝手にB名義にした。それに 気づいたBは利用し甲不動産をCに売却した。 

 この場合AとBは組んだわけではないが通謀虚偽表示の善意の第三者が類推適用されAはCに返還を求めることはできない。

 

〇錯誤

 表示行為と内心的効果意思の不一致があり、表意者がこれを認識していない場合のことを錯誤という。

錯誤がある法律行為は無効になる。無効になる条件は下記に当たります。

・その錯誤がなければ表意者は意思表示をしなかっただろうし、かつ意思表示したことが一般取引通念に照らして正当性が認められる場合

 ・法律行為の動機が明示または黙示的に表示されていた場合

・表意者の重過失がない場合

 

効果

 錯誤による無効を主張できるのは原則表意者本人である。表意者を保護するための法律だからです。

ただし、表意者の債権者も無効を主張できる。

・表意者が錯誤を認めていること

・表意者に対する債権の保全が必要な場合

 

錯誤は表意者の重過失、かつ相手方が善意であれば無効は主張できない。

また、相手方の詐欺により錯誤に陥った場合は表意者の重過失があっても無効を主張できる。

 

〇詐欺による意思表示

 騙されたことにより意思表示をしてしまった場合どうなるのか?

・相手方が詐欺をした場合

 取消すことができます。取消権者は意思表示をした者、その代理人、継承人。

 

・第三者が詐欺をした場合

【例題】

三者Xは表意者Aに「Bの土地が値上がりするらしい」と騙し購入を促しました。表意者Aは相手方Bの土地を買うと意思表示をしました。

相手方Bが善意⇒Aは取消できない 相手方Bが悪意⇒Aは取消せる

 

・第三者に転売された場合

B業者はAに「甲土地は値段が下がるから売ったほうが良い」と騙し甲土地を買い取りました。B業者はCに転売しました。その後、Aは詐欺だと気づきBへの売却を取り消しました。第三者Cに甲土地が渡った場合でもBの詐欺を理由に遡ってAB間の売買を取消できるのか?

三者Cが善意⇒Aは取消しできない 第三者Cが悪意 ⇒Aは取消できる

 

〇脅迫による意思表示

 脅迫された法律行為は取消すことが出来ます。

また、詐欺の場合とことなり第三者が善意悪意など関係なく取消すことができます。

なぜなら、詐欺は騙された方も悪いと考えられているが脅迫の場合は当然ながら表意者には何ら落ち度がないため無条件で取消ができる。

 

この問題ができればOK
解答①

(ア)有効(イ)無効

ポイントは心裡留保(冗談)の表示者は誰なのか?誰を保護すべきなのか?です。

心裡留保の相手方が表示者の冗談を信じて取引をしているので有効となります。

しかし、相手方が冗談を知っていた若しくは知ることができた場合は保護する必要がないので(イ)には無効が入ります。

解答②

×

この問題は通謀虚偽表示に当たります。

三者Cは善意であれば保護されるべきであるのでBC間の取引は有効となる。

逆にCが悪意であれば保護される必要がないのでAはBC間の取引を取り消すことができる。

解答③

×

この問題も保護されるべき人は誰なのかが問題となる。錯誤は表意者を保護すべき法律なので原則無効となります。しかし、表意者に重過失があれば取消できないので問題の前半(表意者は錯誤取り消しをすることはできないが)までは正しい。

後半の相手方が取消できるという文面が間違っている。そもそも表意者が重過失であれ、無過失であれ相手方が取消をするものではない。

錯誤により取消できるのは表意者、表意者の債権者のみです。



解答④

騙された表意者は保護されるべきなので法律行為を取り消すことができます。

しかし、善意の第三者には対抗できず取り消せない。(第三者の無過失は不要)

なぜなら民法は騙された方にも落ち度があるという考えがあり、落ち度のない第三者に迷惑をかけるべきではないと考えられるからである。