代理
こんばんは!独学で公務員試験突破を目指しているサラリーマンのウエマルです。
今回は「代理」を学習したいと思います。
5段階中の4となります。
この問題ができればOK
問題①
代理人が代理権を濫用し、自己又は第三者の利益を図るために権限内の行為を行ったとき、相手方が悪意であったとしても本人の保護を図ることはできない。
〇か×か?
問題②
同一の法律行為で自らが代理人兼相手方となる行為や本人と相手方双方の代理人になることは本人の利益を害する恐れがあるから必ず無効になる。
〇か×か?
問題③
無権代理行為を相手方が悪意又は有過失の場合、無権代理人は相手方から追及されない。また、その行為自体は無効となる。
〇か×か?
問題④
本人Aが相手方Cから脅迫をうけ、代理人Bは安くCに土地を売却した。
脅迫なので取消できる。
〇か×か?
◆代理とは
代理人が本人のために行うことを示し、相手方との意思表示のやり取りをし、その法律効果を本人に帰属することを認める制度。
代理の機能には「私的自治の拡張」と「私的自治の補充」があります。
私的自治の拡張・・・自己の行動には限界があります。例えば法律トラブルに巻き込まれたとき一般の方では対応できる範囲が狭くなるので、弁護士に代理してもらう方が良い結果になると思います。このように代理人の法律行為を自己に帰属させることができ個人の活動範囲を拡げる機能があります。
私的自治の補充・・・前々回の記事の「意思能力と行為能力」で出てきた未成年者などの制限行為能力者のように自らが法律行為を行えない人もいます。このような法律行為を補充機能があります。
〇代理人の権限
・保存行為・・・財産の価値を維持すること。たとえば修繕や消滅時効の中断
・利用行為・・・収益を得るための行為。たとえば、物の賃貸
・改良行為・・・財産の経済価値を増加する行為。例えば貸付金の利子を増やすこと、建物に電気、ガスを通すこと
〇代理権の範囲
自己契約、双方契約は原則的に禁止。なぜなら本人の利益を害する可能性が高い。
・自己契約・・・同一の法律行為で代理人自らが相手方となること
【例題】
本人Aの代理人BがB所有の土地で売り主、買い主となること
・双方契約・・・同一の法律行為で当事者双方の代理人になること
【例題】
争っているAの弁護とBの弁護を行うなど互いの代理人となること
自己契約、双方契約は禁止されているが本人が追認すれば有効な法律行為となる。
よって、初めから無効とはならない。
〈例外〉
自己、双方契約は本人の利益を害する可能性が高いので禁止されている。なので利益を害さなけらば例外的に可能となる。 下記内容が例外になる。
・債務の履行
債務の履行はあらかじめ決まっておりしなければいけないものである。改めて本人の利益を害することはないからである。
・不動産の登記申請行為
これも登記は申請するものでありまた、利益を害する行為ではないからである。
・本人の承諾がある場合
〇代理効果の要件
①顕名・・・本人のためにすることを示すこと
顕名がなければ法律効果を本人に帰属できない
②代理人の行為が代理権の範囲であること
①②の条件が必要となります。
・顕名をしない場合
原則 本人に帰属せず、代理人自身の行為とみなされる。
例外 代理人に代理意思があり、かつ、相手方が代理意思の存在を悪意または有過失の場合、代理行為として本人に帰属する。
〇代理人の権限濫用
【事例】
代理人Bは代理人としてA所有の土地をCに売却する契約をした。しかし、Bは相手方Cに得をさせようとし、本来よりも安く契約をした。
⇒この場合は相手方Cが悪意かつ有過失の場合、Aは自己に効果帰属しないことを主張できる。
これは代理人に「自己または第三者の利益」の意思があり、本来の代理権の「本人の利益」を図る目的と不一致になるので心裡留保が類推適用されます。
〇代理行為の瑕疵
【例題①】
代理人Bが相手方Cの脅迫を受け、低価格でA所有物件をCと売買契約をした。
(代理人が脅迫を受けた場合)
【例題②】
本人AがCから脅迫をうけ、安価でCと売買契約を行った。
(本人が脅迫を受けた場合)
・原則
例題①が売買契約を取り消すことができ、例題②が取り消すことができない。
理由は法律行為を行うのは代理人だからです。
・例外
【例題】
Aの代理人Bが詐欺でA所有の土地をCに売却した。この場合原則は代理人Bが詐欺にあっているので取消せるが詐欺られていることをAが知っている若しくは知ることができた場合は取消せない。
〇代理人が詐欺をした場合
代理人が詐欺をした場合、そのことを本人が知らなかった場合はどうなるのか?
本人が第三者にあたれば相手方は取消すことができなくなる。と考えられるが本人の善意、悪意に限らず相手方は取消すことができる。
⇒なぜなら本人は代理人の行為により利益を享受するものなので逆にリスクも受け入れるべきであると考えられるから
◆無権代理
本人から代理権を与えられていないのに本人の代理人として売買契約をしてもその効果は本人に帰属しない。
①本人との取引は無効となる。しかし、無権代理人と相手方との取引は引き継がれる。
②本人が追認すれば遡及的に本人に効果帰属する。
③本人は相手方と無権代理人に追認、追認拒絶ができるが相手方に伝わっていなければ効果は発生しない。
〇無権代理の相手方の保護
相手方は本人が追認するか追認拒絶するか不安定である。そのための保護として下記権利がある。
①催告権
本人に追認するか否か催告できる。本人がある程度の期間で答えを出さなければ追認拒絶したとみなされる。無権代理について相手方の善意悪意は問わない。
②取消権
相手方が善意の場合は取消すことができる。
③追求権
契約が取消になった場合、相手方は無権代理人に対し責任を追及できる。
無権代理人に(a)本人に代わり契約の遂行若しくは(b)損害賠償請求ができる。
善意無過失が必要。
〇本人が死亡した場合
①単独相続
本人Aの無権代理人B(息子)がA所有の不動産をCに売却した後、Bが相続した。
息子であるBはAの権利を相続したことを理由に追認拒絶をしCに契約破棄をいえるか?
⇒無権代理行為は相続と共に有効になり、追認拒絶はできない。
②共同相続
①の例で兄弟Dがいた場合
⇒無権代理人の相続分についてのみ有効となるわけではない。無権代理行為を有効にするには共同相続人全員の追認が必要。また、他の共同相続人全員が追認している場合は無権代理人は追認拒絶できない。
③単独相続だが相続前に本人が追認拒絶していた場合
⇒無権代理行為は相続により当然に有効とはならない。決めるには話し合いが必要。
〇無権代理人が死亡した場合
【例題】
親である無権代理人Bは本人Aの代理人としてA所有不動産をCに売却した。BをAが相続しAは自己の追認拒絶を使えるか?
⇒無権代理行為が当然に有効とはならない。
⇒追認拒絶はできるが相手方からの履行の請求は免れない。
〇相続人が無権代理人・本人の双方を相続した場合
【例題】
妻Bが夫Aの無権代理人として土地を売却→妻Bが死亡→夫Aと子Dが相続→夫Aが死亡→子がさらに本人Aを相続
子DはCに追認拒絶できるか?
⇒無権代理人をはじめに相続しておりその後、本人を相続しているので無権代理人が本人を相続した場合と変わらない。つまり、追認拒絶はできない。
本人である夫A
◆表見代理
本人に責任があり無権代理人を代理人だと信じた相手を保護する制度
〈要件〉
①本人が無権代理人に代理権がある旨を表示した場合
②本人が無権代理人に基本代理権を与えた場合
③本人がかつて無権代理人に代理権を与えていた場合
⇒相手方は無権代理人を追及でき、また、表見代理の主張どちらも選択できる。
①代理権がある旨を表示した場合
・口頭、書面でも良い
・無権代理人が本人の表示した範囲内で行ったこと
・相手方が善意無過失
②代理権の範囲を超えた代理行為
本人から与えられた代理権の範囲を超えた代理行為は無権代理となるが相手方は代理権外の行為についても信じてしまうのが当たり前。⇒表見代理が成立
・何らかの代理権(基本、私法上の代理行為)があること=基本代理権
・相手方が善意無過失
【例題】
夫婦は日常の家事に関する負担(債権債務)が相互にあり、それについての代理権もある。その代理権の範囲外の行為は無権代理となる。表見代理を主張する場合は「日常家事に属しない」ことを相手方は善意無過失でなければならない。
③代理権消滅後の代理行為
以下項目がすべて当てはまる場合、表見代理が成立、つまり本人に帰責事由が認められる。
・過去に代理権が与えられていたこと
・その代理権が消滅していること
・過去の代理権の範囲内で行っていること
・相手方が善意無過失
【例題】転得者への販売
無権代理人B(もともと代理人)は本人A所有の土地をCに売却した。
CはBが無権代理であることを知ることができたが過失で知らず、善意無過失のDに転売した。
Dは善意無過失なので表見代理を主張できるか?
⇒主張できない。なぜなら「代理権があると信じる」のは相手方Cであり、他のものは無権代理人と関わらない。転得者Cを保護する必要はなく表見代理は成立しない。
この問題ができたらOK
解答①
×
代理権は本人の利益を優先するものである。行為と意思が違っているので心裡留保が類推適用されます。したがって相手方は代理人が自己又は第三者の利益のために行っている行為に善意無過失であれば有効となり、悪意有過失であれば本人は保護されます。
解答②
×
原則無効ですが本人が追認すれば有効となります。
解答③
×
前半は正しく、相手方は無権代理人への損害賠償請求はできないが直ちに無効とはならない。本人に対して催告し、本人が追認すれば有効となる。
問題④
×
代理行為は代理人と相手方との行為であり代理人が脅迫されなければ取消できない。