民法(物権)
こんばんは!独学で公務員試験突破を目指しているサラリーマンのウエマルです。
今回は民法の物権についてまとめました。試験の頻出度では5段階中の3といったところでしょうか。
この問題ができればOK
問題①
Aは所有する甲土地をBに譲渡し、さらに背信的悪意者のCに二重譲渡した。さらにCはAB間の取引に対し善意のDに対し甲土地を譲渡した。AからC、CからDに登記された。
DはBに対し、甲土地の所有権の取得を対抗することができるか?
問題②
AからA所有の土地を購入したBはその登記を備えるまで不法占拠者Cに対し明け渡しを請求することはできない。
問題③
AはBに対し、甲土地を売却し、所有権移転登記手続きも行われたが、Aは脅迫を理由にAB間の売買を取り消した。その後、AB間の所有権移転登記が抹消される前にBはCに対し甲土地を売却して引渡し、所有権移転登記もした。この場合、AはCに対し登記の取り消しを求めることができる。
◆物権変動
物権変動・・・物件が発生、移転、変更、消滅することの総称
〇継承取得と原始取得
継承取得・・・自分の前主から物件を引き継ぐ形で取得すること。
原始取得・・・前主の権利とは無関係にまっさらな物権を取得すること。
時効取得、無主物の帰属、遺失物の取得などが原始取得となります。
〇物権の消滅
物権の消滅には物の消失や物権の放棄、物権の混同があります。
物権の混同
ある土地の地上権を取得し建物を所有→地上権設定者(地上権の負担を受けるもの)から地上権者が土地を買い取った場合に地上権と地上権設定者が同じ人になりこの地上権が物権の混同によって消滅します。
〇公示の原則と公信の原則
公示の原則・・・物権変動に外から認識し得るもの(公示方法)を要求する考え方
不動産については登記、動産については引渡し。
公信の原則・・・真の権利状態と異なる公示方法が存在する場合において、公示方法を信頼して取引した者に対し、公示方法どおりの権利状態があったのと同様の保護を与える考え方
※不動産の公示方法は登記という明確な方法があるので公信力はありません。
公信力が認められるのは動産のみとなります。
例題
所有者Aは第一譲受人のBに不動産を売却した。その後、第二譲受人Cに二重譲渡し、Bは登記していなかったのでCが登記した。
→この場合Cの取得にBは対抗できない。また、CはAB間で取引があったことについて善意悪意をとはない。
※第三者について
上記の場合、登記がなければ対抗できないが下記に当てはまる人物の場合は登記など公示方法がなくても対抗することができる。
①詐欺や脅迫によって登記を妨げにきた者
②無権利の名義人
③不法占拠者
④前主後主の関係にある者
前主後主とは不動産をAがBにBがCに売った場合の関係性(A→B→C)
例題の場合A→BとなりBCは前主後主にはならない
↘C
⑤背信的悪意者
例題でもし第2譲受人であるCが第1譲受人Bを困らせたいがためにCが登記を備えた場合、Cは背信的悪意者となり登記が無効となります。
※転得者
⑤のCが背信的悪意者の場合、CからDへさらに売買され転得者Dが登記した。
→この場合Dが正当な権利者となりBはDに対抗できない。
また、Cが背信的悪意者でなく登記をし、その後背信的悪意者のDに売買された場合もBはDに対抗できない。
◆取消後の第三者
例題
BはAに詐欺をしました。BはAに「あなたが持っている土地に瑕疵があります。瑕疵が発覚する前に私に売ってくれないか?」と持ち掛け1,500万円でAはBに売却した。
詐欺であると判明しためAは取消を行いました。しかし、Aが登記を戻す前にBはCに売却し、登記も行いました。
→ここでは前回学習した2重譲渡となるので登記を備えた第三者Cが保護されます。
◆解除後の第三者
例題
AはBに不動産を売却しましたがBの支払いが滞っています。Aは何度も請求しましましたが未払いが続いたため、不動産の売却を解除しました。しかし、解除されたにもかかわらず、Cに売却し登記もCに移してしまいました。
→契約解除も取消と同様で第三者Cが保護されます。
◆時効完成後の第三者
AはB所有の建物を自分のものだと思い込み、占有を開始しました。その後25年が経過したところでBは建物をCに売り、Cは登記を備えました。
→取得時効は善意無過失で10年、それ以外で20年なのでCは時効完成後の第三者です。
AとCは対抗関係に当たります。登記を先に備えた方が保護されます。
◆遺産分割後の第三者
Aが死亡し、Aの相続人BとCは遺産分割協定を行い、相続財産の中のX土地をBが、現金預金をCが相続することにし、遺産分割協定をまとめた。
しかし、X土地をBの単独名義にする前にCが自分の法定相続分をDに売却し、X土地の登記名義人をDに移した。
→Bは自分の法定相続分は返してもらえますがCの法定相続分は返してもらえません。
Bの法定相続分についてはCは無権利者なのでCD間の売買は取消されます。
この問題ができればOK
解答①
Aは所有する甲土地をBに譲渡し、さらに背信的悪意者のCに二重譲渡した。さらにCはAB間の取引に対し善意のDに対し甲土地を譲渡した。AからC、CからDに登記された。
DはBに対し、甲土地の所有権の取得を対抗することができるか?
→ 〇
背信的悪意者Cまでで取引が終わっていた場合、Bは登記を備えていなくても背信的悪意者には所有権の取得を対抗できる。しかし、AB間取引の善意のDは善意の第三者となり保護される。
問題②
AからA所有の土地を購入したBはその登記を備えるまで不法占拠者Cに対し明け渡しを請求することはできない。
→×
不法占拠者相手にはは登記を備えなくても 対抗を主張できる。
問題③
AはBに対し、甲土地を売却し、所有権移転登記手続きも行われたが、Aは脅迫を理由にAB間の売買を取り消した。その後、AB間の所有権移転登記が抹消される前にBはCに対し甲土地を売却して引渡し、所有権移転登記もした。この場合、AはCに対し登記の取り消しを求めることができる。
→×
登記なくAはCに対抗できない。AがかわいそうではありますがCは解除後の第三者となり保護されます。