サラリーマンの公務員試験合格ブログ

公務員試験の勉強内容をまとめていきます。公務員を目指している方は是非見ていってください!

民法(物権)

こんばんは!独学で公務員試験突破を目指しているサラリーマンのウエマルです。

 

今回は民法の物権についてまとめました。試験の頻出度では5段階中の3といったところでしょうか。

 

この問題ができればOK

問題①

 Aは所有する甲土地をBに譲渡し、さらに背信的悪意者のCに二重譲渡した。さらにCはAB間の取引に対し善意のDに対し甲土地を譲渡した。AからC、CからDに登記された。

DはBに対し、甲土地の所有権の取得を対抗することができるか?

 

問題②

AからA所有の土地を購入したBはその登記を備えるまで不法占拠者Cに対し明け渡しを請求することはできない。

 

問題③

AはBに対し、甲土地を売却し、所有権移転登記手続きも行われたが、Aは脅迫を理由にAB間の売買を取り消した。その後、AB間の所有権移転登記が抹消される前にBはCに対し甲土地を売却して引渡し、所有権移転登記もした。この場合、AはCに対し登記の取り消しを求めることができる。

◆物権変動

物権変動・・・物件が発生、移転、変更、消滅することの総称

 

〇継承取得と原始取得

継承取得・・・自分の前主から物件を引き継ぐ形で取得すること。

原始取得・・・前主の権利とは無関係にまっさらな物権を取得すること。

時効取得、無主物の帰属、遺失物の取得などが原始取得となります。

 

〇物権の消滅

物権の消滅には物の消失や物権の放棄、物権の混同があります。

物権の混同

ある土地の地上権を取得し建物を所有→地上権設定者(地上権の負担を受けるもの)から地上権者が土地を買い取った場合に地上権と地上権設定者が同じ人になりこの地上権が物権の混同によって消滅します。

 

 〇公示の原則と公信の原則

公示の原則・・・物権変動に外から認識し得るもの(公示方法)を要求する考え方

不動産については登記、動産については引渡し。

公信の原則・・・真の権利状態と異なる公示方法が存在する場合において、公示方法を信頼して取引した者に対し、公示方法どおりの権利状態があったのと同様の保護を与える考え方

※不動産の公示方法は登記という明確な方法があるので公信力はありません。

 公信力が認められるのは動産のみとなります。

 

 例題

所有者Aは第一譲受人のBに不動産を売却した。その後、第二譲受人Cに二重譲渡し、Bは登記していなかったのでCが登記した。

→この場合Cの取得にBは対抗できない。また、CはAB間で取引があったことについて善意悪意をとはない。

 ※第三者について

上記の場合、登記がなければ対抗できないが下記に当てはまる人物の場合は登記など公示方法がなくても対抗することができる。

①詐欺や脅迫によって登記を妨げにきた者

②無権利の名義人

③不法占拠者

④前主後主の関係にある者

 前主後主とは不動産をAがBにBがCに売った場合の関係性(A→B→C)

例題の場合A→BとなりBCは前主後主にはならない

      ↘C

背信的悪意者

例題でもし第2譲受人であるCが第1譲受人Bを困らせたいがためにCが登記を備えた場合、Cは背信的悪意者となり登記が無効となります。

※転得者

⑤のCが背信的悪意者の場合、CからDへさらに売買され転得者Dが登記した。

→この場合Dが正当な権利者となりBはDに対抗できない。

また、Cが背信的悪意者でなく登記をし、その後背信的悪意者のDに売買された場合もBはDに対抗できない。

 

◆取消後の第三者

例題

BはAに詐欺をしました。BはAに「あなたが持っている土地に瑕疵があります。瑕疵が発覚する前に私に売ってくれないか?」と持ち掛け1,500万円でAはBに売却した。

詐欺であると判明しためAは取消を行いました。しかし、Aが登記を戻す前にBはCに売却し、登記も行いました。

→ここでは前回学習した2重譲渡となるので登記を備えた第三者Cが保護されます。

 

◆解除後の第三者

例題

AはBに不動産を売却しましたがBの支払いが滞っています。Aは何度も請求しましましたが未払いが続いたため、不動産の売却を解除しました。しかし、解除されたにもかかわらず、Cに売却し登記もCに移してしまいました。

→契約解除も取消と同様で第三者Cが保護されます。

 

◆時効完成後の第三者

AはB所有の建物を自分のものだと思い込み、占有を開始しました。その後25年が経過したところでBは建物をCに売り、Cは登記を備えました。

→取得時効は善意無過失で10年、それ以外で20年なのでCは時効完成後の第三者です。

AとCは対抗関係に当たります。登記を先に備えた方が保護されます。

 

◆遺産分割後の第三者

Aが死亡し、Aの相続人BとCは遺産分割協定を行い、相続財産の中のX土地をBが、現金預金をCが相続することにし、遺産分割協定をまとめた。

しかし、X土地をBの単独名義にする前にCが自分の法定相続分をDに売却し、X土地の登記名義人をDに移した。

→Bは自分の法定相続分は返してもらえますがCの法定相続分は返してもらえません。

Bの法定相続分についてはCは無権利者なのでCD間の売買は取消されます。

 

この問題ができればOK

解答①

 Aは所有する甲土地をBに譲渡し、さらに背信的悪意者のCに二重譲渡した。さらにCはAB間の取引に対し善意のDに対し甲土地を譲渡した。AからC、CからDに登記された。

DはBに対し、甲土地の所有権の取得を対抗することができるか?

→ 〇

背信的悪意者Cまでで取引が終わっていた場合、Bは登記を備えていなくても背信的悪意者には所有権の取得を対抗できる。しかし、AB間取引の善意のDは善意の第三者となり保護される。

 

 

問題②

AからA所有の土地を購入したBはその登記を備えるまで不法占拠者Cに対し明け渡しを請求することはできない。

→×

不法占拠者相手にはは登記を備えなくても 対抗を主張できる。

 

問題③

AはBに対し、甲土地を売却し、所有権移転登記手続きも行われたが、Aは脅迫を理由にAB間の売買を取り消した。その後、AB間の所有権移転登記が抹消される前にBはCに対し甲土地を売却して引渡し、所有権移転登記もした。この場合、AはCに対し登記の取り消しを求めることができる。

 →×

登記なくAはCに対抗できない。AがかわいそうではありますがCは解除後の第三者となり保護されます。

 

民法(時効)

今回は時効について勉強していきます。

重要度は5段階中の3です。

 

この問題ができればOK

問題①

自己に所有権があることを過失なく信じ土地の占有を開始したがその3年後にその土地の所有権を有効に取得していなかったことを認識したとしても更に7年間占有した場合はその土地の取得時効が成立する。

〇か×か?

 

問題②

所有権が消滅時効の対象ではないが所有権に基づく登記請求権は所有権から発生した別個の権利となり消滅時効の対象となる。

〇か×か?

 

問題③

弁済期から10年が経過した賃金債務の債務者が債権者に対して消滅時効を知らずに「支払いはもう少し待ってほしい」と払う意思を示した。善意のため後から消滅時効に気づき援用することはできる。

〇か×か?

 

◆時効の意義

取得時効・・・一定期間他人の物を占有する人に、その物に関する権利を取得させる

消滅時効・・・一定期間権利を行使しない場合にその権利を消滅させるもの

 

〇時効の存在理由

・一定期間継続した状態を尊重し、社会秩序を維持

・権利がありながらそれを行使せず放置する者を保護しない

・時間がたつと真実の権利者が誰であるか証明が困難

 

遡及効

時効による権利取得・消滅はその起算日(占有開始日など)に遡って権利を

取得または消滅する。

 

◆時効の援用

援用・・・時効によって利益を受けるものが時効の利益を受ける意思表示をすること

 

時効の権利取得・消滅は時効期間が来ただけでは裁判所は認めない。

時効の援用ができるものは時効によって直接利益を受けるものとその継承人のみ

 

〇時効利益の放棄

時効による権利取得・消滅は時効完成前にあらかじめ放棄することは禁止されている。

例えばお金を借りる際に債務者が「時効による借金返済の債務の消滅はいらないから金利を安くしてよ」と特約を結ぶのはそもそもの時効制度を無視してしまうからである。

 

◆時効の中断

 時効の中断・・・時効が中断されるとそれまでの経過してきた期間はリセットされる。中断の終了で再度0から始まる。

 

〇時効の中断要因

・請求

債権者が債務者に請求すること。(借金返済を促すなど)

裁判上での請求しなければ中断しない。(口頭では効果は薄い)

・差押え、仮処分

・承認

時効の利益を受けるものが権利を受けないと意思表示をすること

例えば借金返済の時効後、借金を返さなくてもいいのに返すと意思表示すること

【例題】

AはBに借金をしていた。時効が成立しAは借金返済を免れた。しかし、Aはそれを知らずにBに返済すると言った。

⇒この場合、Aは信義則上、時効の援用はできない。

相手方Bを保護するためである。

 

◆取得時効

〇所有権の取得時効の要件

・動産、不動産ともに所有意思を持って平穏、公然に他人の物を占有した場合

基本⇒20年間の占有が必要

占有のはじめに善意無過失だった場合⇒10年間の占有が必要

 

占有により権利を取得した場合、前の人の権利(地上権、抵当権など)を取得するわけではない。

 

消滅時効

〇債権の消滅時効

債権は10年間行使しないことによって消滅時効が完成する。

【例題】

AはBに1,000万円を貸付け、弁済日を令和2年7月1日とした場合、令和12年7月1日までAはBに何も請求をしてこなかったときはBは消滅時効の援用ができる

 

〇その他の権利の消滅時効

債権または所有権でない財産権(抵当権)は20年間使わないときは消滅時効が完成する。

※財産権は消滅時効の対象とはならない。それっぽい理由で財産権が消滅時効になるという樋掛問題に注意。

 

 

◆問題の解答

解答①

自己に所有権があることを信じ占有していた場合、善意無過失で10年間、

悪意有過失で20年間で取得時効が成立する。


解答②
×

所有権は消滅時効の対象とはならない。また、登記請求権など「所有権から…」と回答者を惑わすひっかけ問題である。登記請求権などがいちいち対象となるかどうかを覚える必要はない。



解答③
×

債務者が賃金債務の消滅時効に善意無過失であったとしても支払いを承認した場合、消滅時効を理由に賃金債務を免れない。

信義則上の観点から債権者を保護するためである。

代理

こんばんは!独学で公務員試験突破を目指しているサラリーマンのウエマルです。
 今回は「代理」を学習したいと思います。
5段階中の4となります。
この問題ができればOK

問題①

代理人が代理権を濫用し、自己又は第三者の利益を図るために権限内の行為を行ったとき、相手方が悪意であったとしても本人の保護を図ることはできない。

〇か×か?

 

問題②

同一の法律行為で自らが代理人兼相手方となる行為や本人と相手方双方の代理人になることは本人の利益を害する恐れがあるから必ず無効になる。

〇か×か?

 

問題③

無権代理行為を相手方が悪意又は有過失の場合、無権代理人は相手方から追及されない。また、その行為自体は無効となる。

〇か×か?

 

問題④

本人Aが相手方Cから脅迫をうけ、代理人Bは安くCに土地を売却した。

脅迫なので取消できる。

〇か×か?

 

◆代理とは

 代理人が本人のために行うことを示し、相手方との意思表示のやり取りをし、その法律効果を本人に帰属することを認める制度。

 

代理の機能には「私的自治の拡張」と「私的自治の補充」があります。

 私的自治の拡張・・・自己の行動には限界があります。例えば法律トラブルに巻き込まれたとき一般の方では対応できる範囲が狭くなるので、弁護士に代理してもらう方が良い結果になると思います。このように代理人の法律行為を自己に帰属させることができ個人の活動範囲を拡げる機能があります。

 

 私的自治の補充・・・前々回の記事の「意思能力と行為能力」で出てきた未成年者などの制限行為能力者のように自らが法律行為を行えない人もいます。このような法律行為を補充機能があります。

 

代理人の権限

 ・保存行為・・・財産の価値を維持すること。たとえば修繕や消滅時効の中断

 ・利用行為・・・収益を得るための行為。たとえば、物の賃貸

 ・改良行為・・・財産の経済価値を増加する行為。例えば貸付金の利子を増やすこと、建物に電気、ガスを通すこと

 

〇代理権の範囲

 自己契約、双方契約は原則的に禁止。なぜなら本人の利益を害する可能性が高い。

 ・自己契約・・・同一の法律行為で代理人自らが相手方となること

【例題】

 本人Aの代理人BがB所有の土地で売り主、買い主となること

 

 ・双方契約・・・同一の法律行為で当事者双方の代理人になること

【例題】

 争っているAの弁護とBの弁護を行うなど互いの代理人となること

 

自己契約、双方契約は禁止されているが本人が追認すれば有効な法律行為となる。

よって、初めから無効とはならない。

 

〈例外〉

自己、双方契約は本人の利益を害する可能性が高いので禁止されている。なので利益を害さなけらば例外的に可能となる。 下記内容が例外になる。

・債務の履行

債務の履行はあらかじめ決まっておりしなければいけないものである。改めて本人の利益を害することはないからである。

 

・不動産の登記申請行為

これも登記は申請するものでありまた、利益を害する行為ではないからである。

 

・本人の承諾がある場合

 

〇代理効果の要件

顕名・・・本人のためにすることを示すこと

顕名がなければ法律効果を本人に帰属できない

 

代理人の行為が代理権の範囲であること

 

①②の条件が必要となります。

 

顕名をしない場合

 原則 本人に帰属せず、代理人自身の行為とみなされる。

 例外 代理人に代理意思があり、かつ、相手方が代理意思の存在を悪意または有過失の場合、代理行為として本人に帰属する。

 

代理人の権限濫用

【事例】

代理人Bは代理人としてA所有の土地をCに売却する契約をした。しかし、Bは相手方Cに得をさせようとし、本来よりも安く契約をした。

 ⇒この場合は相手方Cが悪意かつ有過失の場合、Aは自己に効果帰属しないことを主張できる。

これは代理人に「自己または第三者の利益」の意思があり、本来の代理権の「本人の利益」を図る目的と不一致になるので心裡留保が類推適用されます。

 

〇代理行為の瑕疵

【例題①】

 代理人Bが相手方Cの脅迫を受け、低価格でA所有物件をCと売買契約をした。

代理人が脅迫を受けた場合)

【例題②】

 本人AがCから脅迫をうけ、安価でCと売買契約を行った。 

 (本人が脅迫を受けた場合)

 

・原則

 例題①が売買契約を取り消すことができ、例題②が取り消すことができない。

理由は法律行為を行うのは代理人だからです。

 

・例外

【例題】

  Aの代理人Bが詐欺でA所有の土地をCに売却した。この場合原則は代理人Bが詐欺にあっているので取消せるが詐欺られていることをAが知っている若しくは知ることができた場合は取消せない。

 

代理人が詐欺をした場合

 代理人が詐欺をした場合、そのことを本人が知らなかった場合はどうなるのか?

本人が第三者にあたれば相手方は取消すことができなくなる。と考えられるが本人の善意、悪意に限らず相手方は取消すことができる。

⇒なぜなら本人は代理人の行為により利益を享受するものなので逆にリスクも受け入れるべきであると考えられるから

 

無権代理

 本人から代理権を与えられていないのに本人の代理人として売買契約をしてもその効果は本人に帰属しない。

①本人との取引は無効となる。しかし、無権代理人と相手方との取引は引き継がれる。

②本人が追認すれば遡及的に本人に効果帰属する。

③本人は相手方と無権代理人に追認、追認拒絶ができるが相手方に伝わっていなければ効果は発生しない。

 

無権代理の相手方の保護

相手方は本人が追認するか追認拒絶するか不安定である。そのための保護として下記権利がある。

①催告権

本人に追認するか否か催告できる。本人がある程度の期間で答えを出さなければ追認拒絶したとみなされる。無権代理について相手方の善意悪意は問わない。

②取消権

相手方が善意の場合は取消すことができる。

③追求権

契約が取消になった場合、相手方は無権代理人に対し責任を追及できる。

無権代理人に(a)本人に代わり契約の遂行若しくは(b)損害賠償請求ができる。

善意無過失が必要。

 

〇本人が死亡した場合

①単独相続

本人Aの無権代理人B(息子)がA所有の不動産をCに売却した後、Bが相続した。

息子であるBはAの権利を相続したことを理由に追認拒絶をしCに契約破棄をいえるか?

無権代理行為は相続と共に有効になり、追認拒絶はできない。

 

②共同相続

①の例で兄弟Dがいた場合

無権代理人の相続分についてのみ有効となるわけではない。無権代理行為を有効にするには共同相続人全員の追認が必要。また、他の共同相続人全員が追認している場合は無権代理人は追認拒絶できない。

 

③単独相続だが相続前に本人が追認拒絶していた場合

無権代理行為は相続により当然に有効とはならない。決めるには話し合いが必要。

 

無権代理人が死亡した場合

【例題】

親である無権代理人Bは本人Aの代理人としてA所有不動産をCに売却した。BをAが相続しAは自己の追認拒絶を使えるか?

無権代理行為が当然に有効とはならない。

⇒追認拒絶はできるが相手方からの履行の請求は免れない。

 

〇相続人が無権代理人・本人の双方を相続した場合

【例題】

妻Bが夫Aの無権代理人として土地を売却→妻Bが死亡→夫Aと子Dが相続→夫Aが死亡→子がさらに本人Aを相続

子DはCに追認拒絶できるか?

無権代理人をはじめに相続しておりその後、本人を相続しているので無権代理人が本人を相続した場合と変わらない。つまり、追認拒絶はできない。

本人である夫A

 

表見代理

 本人に責任があり無権代理人を代理人だと信じた相手を保護する制度

〈要件〉

①本人が無権代理人に代理権がある旨を表示した場合

②本人が無権代理人に基本代理権を与えた場合

③本人がかつて無権代理人に代理権を与えていた場合

⇒相手方は無権代理人を追及でき、また、表見代理の主張どちらも選択できる。

 

①代理権がある旨を表示した場合

・口頭、書面でも良い

無権代理人が本人の表示した範囲内で行ったこと

・相手方が善意無過失

 

②代理権の範囲を超えた代理行為

本人から与えられた代理権の範囲を超えた代理行為は無権代理となるが相手方は代理権外の行為についても信じてしまうのが当たり前。⇒表見代理が成立

・何らかの代理権(基本、私法上の代理行為)があること=基本代理権

・相手方が善意無過失

【例題】

夫婦は日常の家事に関する負担(債権債務)が相互にあり、それについての代理権もある。その代理権の範囲外の行為は無権代理となる。表見代理を主張する場合は「日常家事に属しない」ことを相手方は善意無過失でなければならない。

 

③代理権消滅後の代理行為

以下項目がすべて当てはまる場合、表見代理が成立、つまり本人に帰責事由が認められる。

・過去に代理権が与えられていたこと

・その代理権が消滅していること

・過去の代理権の範囲内で行っていること

・相手方が善意無過失

 

【例題】転得者への販売

 無権代理人B(もともと代理人)は本人A所有の土地をCに売却した。

CはBが無権代理であることを知ることができたが過失で知らず、善意無過失のDに転売した。

Dは善意無過失なので表見代理を主張できるか?

⇒主張できない。なぜなら「代理権があると信じる」のは相手方Cであり、他のものは無権代理人と関わらない。転得者Cを保護する必要はなく表見代理は成立しない。

 

この問題ができたらOK

 

解答①

×

代理権は本人の利益を優先するものである。行為と意思が違っているので心裡留保が類推適用されます。したがって相手方は代理人が自己又は第三者の利益のために行っている行為に善意無過失であれば有効となり、悪意有過失であれば本人は保護されます。

 

解答②
×

原則無効ですが本人が追認すれば有効となります。

解答③
×

前半は正しく、相手方は無権代理人への損害賠償請求はできないが直ちに無効とはならない。本人に対して催告し、本人が追認すれば有効となる。

 

問題④
×

代理行為は代理人と相手方との行為であり代理人が脅迫されなければ取消できない。 

 

 

 

 

 

 

 

  

民法(意思表示)

こんばんは!独学で公務員試験突破を目指しているサラリーマンのウエマルです。

 今回は「意思表示」というテーマで学習したいと思います。
5段階中の5となります。

この問題ができればOK
問題①

心裡留保による意思表示はその意思表示の効果に影響を及ぼすので(ア)となるが、相手方が表意者の表示と内心の意思の不一致を過失により知らない場合はその意思表示は(イ)となる。

(ア)(イ)はそれぞれ無効、有効どちらの言葉が入るか?

 

問題②

建物を新築したAがその建物の所有権を移転する意思がないのに、Bの承諾を得た上、その建物をB名義で保存登記していたところBはその建物をCに譲渡した。Bが無権利者であることにつきCが善意である時でもCはその建物の所有権取得が認められない。(国家2種 H22)

〇か×か? 

 

問題③

意思表示は法律行為の要素に錯誤があたったときは取消すことができる。表意者に重大な過失があるときには、そのような表意者を相手方を犠牲にして保護する必要はないから、表意者は自ら錯誤取消を主張することができないが、相手方は表意者に重大な過失があるときであっても、錯誤取り消しを主張することはできる。

〇か×か?

 

問題④

詐欺によって取り消すことができる法律行為を取り消した場合、その法律行為は遡及的に無効となり、取消前の善意・無過失の第三者にも対抗することができる。

〇か×か?

 

◆意思表示基礎
1.意思表示とは?
 法律効果の発生の意思を表示することです。
意思表示には3つの要素、過程があります。
①内心的効果意思・・・法律効果を欲する意思(例)パンが欲しい。買おう。
②表示意思・・・内心的効果意思を外部、相手方に表示する意思(例)パンを下さいと言おう。
③表示行為・・・外部への内心的効果意思の表示(例)「パンを下さい。」

2.言い間違えた場合
 パン屋にAがアンパンを買いに行きました。しかし、Aは「メロンパンを下さい」と誤って伝えた場合、アンパンを買えるのかそれともメロンパンを買うことになってしまうのか2つの考えがあります。

①意志主義
 意思表示⇒内心的効果意思を重視する考え方です。表意者の利益を優先し「メロンパンを買う」という表示は無効になります。

②表示主義
 表示を受ける相手方が保護される考え方です。意思と表示が異なっていても表示したことが有効となりメロンパンを買うことになります。

 

◆意思の不存在と瑕疵のある意思表示

ここから問題に出やすいところになります。

心裡留保

表意者が表示が真意と違っていることを分かっていながらする表示のことをいいます。つまり、嘘や冗談です。

 

【例題】BはAに家を売ってもらうようにお願いしに行きました。Aは売る気がないのに「売りましょう」と答えました。売買契約書は交わしていません。

  

この場合、契約書は交わしていませんが有効となりAは家を売らなければなりません。

Bは家を買うために今住んでいる住居を引き払う手続きをしているかもしれません。そんな意思表示者の相手方を保護するために有効となります。

心裡留保の意思表示は原則有効となります。

〈悪意の場合〉 ※民法の悪意とは事柄を知っていたこと、善意は知らなかったこと

相手方が心裡留保を知っている若しくは知ることができた(悪意又は有過失)場合、保護する必要がないので契約は無効となります。

 

・第三者との関係

 AはBに真意では売る意思がないのにBに甲土地を売却しました。その後BからCへ転売された場合どうなるのか?相手方Bの状態が問題となります。

〈Bが善意・無過失〉

Bが善意・無過失であれば相手方のBが保護されるのでCへの転売も有効になります。

〈Bが悪意・有過失〉

Bが悪意・有過失であればA-B間の販売は無効になります。

しかし、第三者Cが善意であれば第三者の保護のためA-B-C間の取引は有効となります。

一方、第三者Cが悪意であれば A-B-C間の取引はとなります。

 

〇通謀虚偽表示

 意思表示の相手方と通じてした虚偽の意思表示のことです。

【例題】

①Aは債権者Xから2000万円借りていたが払えない場合、A所有の甲建物をXに渡さなければいけない。甲建物を渡すことを嫌ったAは親友Bと結託して甲建物をB名義に移転した。

⇒この場合無効となりB名義にならず、Xへ渡さなければならない。(原則、無効)

②①の後、Bは甲建物を第三者Cに売却した。AB間の無効を理由にXはBC間の取引の無効を求められるか?

〈Cが善意〉債権者XやAはCに返還を請求できない。

〈Cが悪意〉BC間の取引は無効となり、甲所有権はAに返還される。

・注意点

 Cが善意の場合、CはBから甲建物を購入した時に善意であれば足り、その後事実を知った場合でも取引は有効となる。

  裁判で善意を立証しなければならないのは第三者となる。

 第三者が保護されるには不動産の登記

 

・転得者

 上記の【例題②】で第三者Cからさらに転得者Dに売却した場合

①〈Cが悪意、Dが善意〉Dが善意であればAやXはCD間の取引の無効を主張できない。

②〈Cが善意、Dが悪意〉Cが善意であればBC間は有効となり、第三者Cを保護する」観点からCD間の取引の無効を主張できない。

 

・権利外観法理

 通謀していなくても何らかの外形的に信頼できる事象があれば通謀虚偽表示の類推適用がされる。つまり、端から見れば悪だくみをしていると思える根拠があれば通謀虚偽表示になるということです。

【例題】Aは自身の所有している甲不動産の登記を勝手にB名義にした。それに 気づいたBは利用し甲不動産をCに売却した。 

 この場合AとBは組んだわけではないが通謀虚偽表示の善意の第三者が類推適用されAはCに返還を求めることはできない。

 

〇錯誤

 表示行為と内心的効果意思の不一致があり、表意者がこれを認識していない場合のことを錯誤という。

錯誤がある法律行為は無効になる。無効になる条件は下記に当たります。

・その錯誤がなければ表意者は意思表示をしなかっただろうし、かつ意思表示したことが一般取引通念に照らして正当性が認められる場合

 ・法律行為の動機が明示または黙示的に表示されていた場合

・表意者の重過失がない場合

 

効果

 錯誤による無効を主張できるのは原則表意者本人である。表意者を保護するための法律だからです。

ただし、表意者の債権者も無効を主張できる。

・表意者が錯誤を認めていること

・表意者に対する債権の保全が必要な場合

 

錯誤は表意者の重過失、かつ相手方が善意であれば無効は主張できない。

また、相手方の詐欺により錯誤に陥った場合は表意者の重過失があっても無効を主張できる。

 

〇詐欺による意思表示

 騙されたことにより意思表示をしてしまった場合どうなるのか?

・相手方が詐欺をした場合

 取消すことができます。取消権者は意思表示をした者、その代理人、継承人。

 

・第三者が詐欺をした場合

【例題】

三者Xは表意者Aに「Bの土地が値上がりするらしい」と騙し購入を促しました。表意者Aは相手方Bの土地を買うと意思表示をしました。

相手方Bが善意⇒Aは取消できない 相手方Bが悪意⇒Aは取消せる

 

・第三者に転売された場合

B業者はAに「甲土地は値段が下がるから売ったほうが良い」と騙し甲土地を買い取りました。B業者はCに転売しました。その後、Aは詐欺だと気づきBへの売却を取り消しました。第三者Cに甲土地が渡った場合でもBの詐欺を理由に遡ってAB間の売買を取消できるのか?

三者Cが善意⇒Aは取消しできない 第三者Cが悪意 ⇒Aは取消できる

 

〇脅迫による意思表示

 脅迫された法律行為は取消すことが出来ます。

また、詐欺の場合とことなり第三者が善意悪意など関係なく取消すことができます。

なぜなら、詐欺は騙された方も悪いと考えられているが脅迫の場合は当然ながら表意者には何ら落ち度がないため無条件で取消ができる。

 

この問題ができればOK
解答①

(ア)有効(イ)無効

ポイントは心裡留保(冗談)の表示者は誰なのか?誰を保護すべきなのか?です。

心裡留保の相手方が表示者の冗談を信じて取引をしているので有効となります。

しかし、相手方が冗談を知っていた若しくは知ることができた場合は保護する必要がないので(イ)には無効が入ります。

解答②

×

この問題は通謀虚偽表示に当たります。

三者Cは善意であれば保護されるべきであるのでBC間の取引は有効となる。

逆にCが悪意であれば保護される必要がないのでAはBC間の取引を取り消すことができる。

解答③

×

この問題も保護されるべき人は誰なのかが問題となる。錯誤は表意者を保護すべき法律なので原則無効となります。しかし、表意者に重過失があれば取消できないので問題の前半(表意者は錯誤取り消しをすることはできないが)までは正しい。

後半の相手方が取消できるという文面が間違っている。そもそも表意者が重過失であれ、無過失であれ相手方が取消をするものではない。

錯誤により取消できるのは表意者、表意者の債権者のみです。



解答④

騙された表意者は保護されるべきなので法律行為を取り消すことができます。

しかし、善意の第三者には対抗できず取り消せない。(第三者の無過失は不要)

なぜなら民法は騙された方にも落ち度があるという考えがあり、落ち度のない第三者に迷惑をかけるべきではないと考えられるからである。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

民法(意思能力と行為能力)

こんばんは!独学で公務員試験突破を目指しているサラリーマンのウエマルです。

 

 今回は「意思能力と行為能力」というテーマで学習したいと思います。

未成年者など行為を制限されている人たちの法律行為について試験で頻出されますので

5段階中5の重要度となっています。

 

この問題ができればOK

 問題①

 AがBにお金を貸していました。Bはその借金を返そうとたまたま出会ったAの高校生の息子Cにお金を返しました。不利益になることはないのでCは受け取った。

次のうち正しいものを選べ

ア、Aは取消できない イ、Bは取消せる ウ、AとCは取消せる

 

問題②

 成年後見人は同意を得ないで不動産などの重要な取引を行った場合は取消せるが成年被後見人の同意を得た場合は取消すことができない。

ア、〇 イ、×

 

問題③

 制限行為能力者が取り消したときは相手方はそれを理由に現に利益を受けている限度で返還すれば足りる。

ア、〇 イ、×

 

答えはこの章の下部に記載

 

1.意思能力

 意思能力とは自分が行った行為でどのような影響を与えるのか認識できる能力をいいます。意思能力がないものがした行為は無効となります。

 例えば、家に金の買取業者が「金を売ってください」と営業に来ました。家には幼稚園児のA君しかおらず、母親の大事な金のネックレスを売ってしまいました。

この場合、金の売買は初めからなかった行為として無効になりネックレスは返ってきます。

 

2.行為能力

 行為能力とはその人が単独で行える能力のことです。

行為能力者とは具体的に次の4つです。

(a)未成年者  (b)成年後見人  (c)被保佐人  (d)被補助人 です。

(b)~(d)の聞き馴染みはないと思いますがまとめて精神障害がある方たちのことを言います。程度の重さで分けられ(b)が最も重い症状です。

制限行為能力者がした行為は取消となります。

※意思能力がない人がする行為は無効、制限行為能力者は取消です。

 

(a)~(d)の単独でできる行為には各々程度の違いがあります。

できない行為をしたときは原則、取消ができます。一つ一つ見ていきましょう。

 

未成年者(20歳未満)

 単独でできる行為

①「単に権利を得、又は義務を免れる法律行為」(5条1項但書)です。

例えば、知人から家などを貰うことや借金を免除してもらうことです。

「単に…」というところが重要で友達に貸しているお金を返金してもらうことは現金が手元に増えますが貸し付けている権利(債権)が無くなってしまうので単独で行える行為とは呼べません。親など法定代理人は取消そうと思えば取り消せます。

 

②ざっくり言うとお小遣いを使うことです。

しかし、勉強道具を買うためにあげたお小遣いをゲームに使ってしまった場合は法定代理人は取消すことができます。お小遣いの用途が決められているならその範囲内で使わなければならないです。

 

③営業許可を受けた営業行為

法定代理人によって許可を得た営業は認められます。

 

法定代理人の権利

 未成年者の法定代理人は「代理権」「同意権」「追認権」「取消権」があります。

追認権は事後に同意することです。

 

※未成年者の中でも単独で法律行為を行える人たちがいます。男性は18歳、女性は16歳が結婚した時に成人したとみなされ法律行為を行うことができます。

 

成年被後見人

 成年被後見人とは精神障害で物事の判断ができないと裁判所に判断された人の中で最も程度の重い部類の人たちのことをいいます。

 

成年被後見人の法律行為は原則、本人または成年後見人(法定代理人)が取り消せます。

例外を下記にあげます。

①日常生活に関する行為です。

日用品を買ったり、タクシーを使うことです。

 

②婚姻、離婚、認知(ある子を自分の子供と認めること)などです。

 

成年後見人の権限

未成年者の法定代理人と同じく「代理権」「取消権」「追認権」がありますが「同意権」はありません。

「同意権」がない理由は成年被後見人が同意したとしてもその通りに行動することが難しいからです。

 

被保佐人

 被保佐人とは成年被後見人よりも症状が軽いが物事を認識する能力が低い人のことをいいます。

 

 成年被後見人の場合と同様で被保佐人の法律行為は本人もしくは保佐人が原則、取消すことができます。

しかし、精神障害の程度が軽いので被保佐人が単独で出来ることのほうが多いです。

下記に主に単独で出来ないことを挙げています。

①不動産の売買や賃貸など

②借金など他人の財産を借りること。またその保証人になること

③資産運用など

身分行為以外の財産に関わる重要な行為が保佐人の同意を得なければできないと覚えておきましょう。

 

保佐人の権限

「同意権」「取消権」「追認権」「代理権」があります。

 

  被補助人

程度が最も軽い精神障がい者のことです。

成年被後見人被保佐人とは違い裁判所が補助開始の審判をするには本人の同意が必要です。

 

3.重要判例

制限行為能力者が嘘をついた場合

制限行為能力者が自分は行為能力がある(成年、後見などの審判をうけていない)と嘘をつき法律行為を行ったときは制限行為能力者が取消をすることはできない。

制限行為能力者を保護するには相手方がかわいそうだからです。

また、「自分は制限行為能力者ではない」と積極的に騙すだけでなく、自分が無能力者であると黙っており、かつ、他の言動とあいまって相手方を誤認させたときも取消はできない。

 

行為が取り消された場合

 制限行為能力を理由に行為が取り消されたが制限行為能力者がその資産の価値を減らしていた場合は今の価値(現存利益)で相手方に返せばよいことになります。

例えば未成年者が古本屋で大事な本を5万円で売ったとします。それに気づいた親は取消すことができますが既に1万円使ってしまった場合は民法上、未成年者は4万円だけ返せばこと足ります。制限行為能力者の保護の観点からです。

 

解答①ウ

「単に権利を得、又は義務を免れる法律行為」(5条1項但書)は単独で出来る行為ですがお金を返金してもらうことは現金が手元に増えますが貸し付けている権利(債権)が無くなってしまうので単独で行える行為とは呼べません。親など法定代理人は取消そうと思えば取り消せます。

 

解答②イ

取消せます。そもそも成年後見人には同意権がありません。「同意権」がない理由は成年後見人が同意したとしてもその通りに行動することが難しいからです。

 

解答③イ

相手方は全額返済しなければなりません。現存利益の返却でことたりるのは制限行為能力者側のみです。制限行為能力者保護の観点からできた法律であるためです。

 

 

 

民法(権利能力)

こんばんは!独学で公務員試験突破を目指しているサラリーマンのウエマルです。

 

今回は民法の権利能力についてまとめました。試験の頻出度では5段階中の3といったところでしょうか。

 

この問題ができればOK

問題①

次のうち権利能力を持つ存在は?

ア、人  イ、会社  ウ、学校  エ、ペット

 

問題②

次のうち、正しいものを選べ

ア、胎児も立派な人間だから当然に権利能力が発生する。

イ、権利能力は出生とともに発生するため親が遺言で生まれてくる子供に遺産を残す旨を伝えていても受け取ることができない。

ウ、親が殺害された場合、その胎児は損害賠償請求をすることができる

 

問題③

次のうち、間違っているものを選べ

ア、権利能力は出生で発生し、死亡によって消滅する。

イ、父と子が海難事故で亡くなった場合、父の遺産は本来、子に相続されるが子も死亡しているため誰も相続できない。

ウ、父と母、子の家族が遭難し、死亡した。この場合、死亡の先後が不明な場合は年齢の順で死亡したとみなされる。

 

答えはこの章の下部に記載

 

1.権利能力とは?

そもそも権利義務とは「民法学(日本民法学を含む)において、私法上の権利、義務の帰属主体となり得る資格をいう。〈Wikipediaより引用〉」とあります。

噛み砕いて言うと「法律を使うことができる資格」ということです。

※権利能力があるのは人間だけではなく法人(会社、団体)もです。

 

2.胎児の権利能力

原則として人の権利能力は出生したとき(母体から出たとき)からはじまります。

しかし、原則の考えだけでは理不尽なケースがあるので例外としての考えを設けています。

※胎児が生まれていないときに父親が殺害された場合、原則の考えだと生まれてくる赤ちゃんは遺産も相続できず犯人に文句も言えません。

そこで例外として①相続権②遺言による贈与③損害賠償請求権は生まれていなくても認められるのです。

 

3.死亡の前後が不明な場合

権利能力の発生は出生した時ですが反対に権利能力が終了するときは死亡した時です。

しかし、このような考えで行くと上手くいかないことが出てきます。

※例えば親ABと子Cの一家が登山に行きそこで遭難し死亡しました。もし親ABより子Cが先に死亡していれば親ABの父母(子Cの祖父母)はABの遺産を受け取れます。逆に親ABが先に死亡した場合、子Bに遺産が渡るため親ABの父母に相続されません。この場合だれも遺産がもらえない状態になってしまうのです。

そこで民法は死亡の先後が不明な場合はABCが同時に死亡したとみなすわけです。

そうすれば親ABの遺産は子Bに相続されず親ABの父母に相続されるということになります。

 

4、失踪宣告

例えば夫がある日、行方不明になりその状態が続き条件がそろった場合に失踪宣告をすると夫は死亡したとみなされ遺産相続されます。

普通失踪…生死が不明の状態から7年

特別失踪…危難が去って1年

また、失踪宣告を受けたものがどこかで生きていた場合、生きているので当然、権利能力があります。

※失踪宣告を受けた夫が生きていた場合、妻に相続された家やお金は夫に戻ることになります。

しかし、妻は夫が生きていることを知らなかった場合、使ったお金や売却した家などは返す必要はありません。

 

解答

①ア、イ、ウ

②ウ

③イ、ウ